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安野モヨコの漫画「ハッピーマニア」から学べる反面教師な恋愛ヒント


安野モヨコの漫画「ハッピーマニア」から学べる反面教師な恋愛ヒント

世の中には恋愛をモチーフにした文学や漫画などの作品が数多くあります。

それらをご覧になって

「あー、面白かった♪」

とだけ思っているのはもったいない!

それらの作品の中にはたくさんの片思いの恋愛ヒントを隠されているのです。

今回は安野モヨコの漫画である「ハッピーマニア」を例に取って、そこから気づきを得ていきましょう。

話の核心のネタバレは無しなので、未読の方もぜひご覧になってください。

安野モヨコ「ハッピーマニア」ってどんな話?――彼氏求めて数々の恋愛に向かう主人公重田カヨコ

「ハッピーマニア」は20代の女性、重田カヨコ(通称シゲカヨ)を主人公にした恋愛大河とも言える作品です。

シゲカヨは「彼氏が欲しい!」と連呼しながら、さまさまな恋愛遍歴を重ねていきます。

職場の同僚の彼氏を寝取ってトラブルを起こしたり、ストーカーな男に好かれてトラブルを起こしたり、不倫してトラブルを起こしたり……。

要するにトラブル起こしまくりの嵐のような女性です。

そして当然のことながら、恋の失敗の連続。

このシゲカヨをなぜか深く愛する、大学生のタカハシ。

そして親友のフクちゃんに生暖かく見守られ(呆れられ?)、自分の恋愛に爆走していくのがシゲカヨという女性なのです。

主人公重田カヨコは「自分が幸せになるために」恋愛をしている

「ハッピーマニア」におけるシゲカヨの恋愛は、少女漫画の暗黙の了解である、

「たったひとりの好きな人と相思相愛になる」

を崩すものです。

シゲカヨは失恋しては次の男を好きになり、ボロボロになってもまた立ち上がります。

恋愛でうまくいかなったら、代わりに仕事や趣味に打ち込むという人が多そうなのに、シゲカヨはあくまでも「恋愛」に固執するのです。

そのありさまは時にユーモラスでもあり、呆れるほどでもあり、感動の気持ちすら起こります。

さて、では、なぜシゲカヨはそんなに恋愛に打ち込めるのでしょうか?

彼女が作品中、ずっと言っているのが

「彼氏が欲しい!」

という言葉です。

しかし、実はこの言葉、そのままの意味で捉えてはいけません。

確かにシゲカヨは彼氏が欲しいのですが、ではなぜ彼氏が欲しいのかというと、それは「幸せになりたいから」なんですね。

シゲカヨは自分が幸せになるための手段として、恋愛を選択しているだけなんです。

さらに言えば、シゲカヨは彼氏を手に入れても幸せにはなっていません。

シゲカヨは失恋し続けた、とは言うものの、別に相手に門前払いはされません。

むしろ、作中で何度も意中の人と交際にまで至っています。

それでも彼女の恋はやがて終わりを迎えます。

好きな人と付き合うことができたのに、なぜかうまくいかない。

これってなぜ?

それは、シゲカヨが「理想の幸せ」、そしてその幸せを持ってきてくれる「理想の彼」を追い求めていてるからなんです。

実は理想の彼なんてどこにもいません

あなたも以下のような経験がありませんか?

「付き合ってみると、理想と現実の彼は少し違っていて、がっかりしちゃったな」

などということ。

誰しもが、

「こんな人に愛されたい」

「こういう恋愛をしたい」

という理想像を持っていると思います。

そして片思いの好きな人とお付き合いに至った時には、それを実現したいと願うのです。

しかし、私たちがシンデレラでは無いのと同様に、私たちの恋愛相手も王子様ではありません。

頭ではそのことをよくわかっているはずなのに、実際に理想像と現実の彼のギャップを見てしまうと、「裏切られた」なんて思いを抱いてしまうことすらありますよね。

多くの人は、そういう気持ちを抱きながらも、現実の彼の姿を心のなかで修正しつつ、折り合いをつけていきます。

しかし、中にはこれができない人がいます。

「この人は理想の彼じゃない。きっとどこかに理想の彼がいるはず。そう、私にハッピーをもたらしてくれる、理想の彼が!」

シゲカヨの「彼氏が欲しい」という言葉には、そういった感覚が隠されていると見るべきなのです。

そしてさらに恐ろしいことには、「どこかにいるであろう、私にハッピーをもたらしてくれる理想の彼」という存在はどこにもいないのに(だって完ぺきな人なんていませんからね)、頭の中でばかりこの空想が広がっていってしまうということなんです。

結果としてシゲカヨはどのような男性と恋愛を重ねても、最終的には「どこかにいるであろう、私にハッピーをもたらしてくれる理想の彼」を求めて旅立ってしまうことになるのです。

シゲカヨが恋愛を優先するばかりに仕事をないがしろにしており、また無趣味だということも覚えておいてください。

もう一つのシゲカヨの間違い――片思いの相手に簡単にセックスを許すこと

シゲカヨの恋愛はもう一つ、決定的に間違っていることがあります。

「どこかにいるであろう、私にハッピーをもたらしてくれる理想の彼」という感覚を持っているシゲカヨは、それを求めるあまりに、恋愛相手に対して間違った尽くし方をしているのです。

それは、作中では安易なセックスという形で描かれています。

シゲカヨ自身は以下のように言っています。

「あたしはセックスしたいんじゃなくて 彼 彼が欲しい!! Hすんのはその第一段階だって思うからすんの ただ… その後… そのアトなの問題は どうしたら続くの!? どうしたら『彼女』っていう確固たるものになれんの?? 何が悪いの?」

セックスしたけど、その後の関係は続かない。

これがシゲカヨの恋愛パターンの、大きな問題であることは明らかです。

別の記事でも何度も言っていることですが、女性は男性に追いかけさせることで幸せな恋愛を手にすることができます(参照「片思いの勝利の秘訣は『追いかけさせる』!目指せ特別なオンナ」)。

しかし、シゲカヨはこの法則を完全に無視しているのです。

自分からほいほいと

「ぜひ召し上がってください!」

とばかりに身体を差し出すことは、シゲカヨ自身の価値を低くする行為だということに気がついていないのです。

結果として、シゲカヨは男性に追いかけられず、大切にされず、いつも涙を飲むのです。

確かに、男性は女性とセックスがしたい生き物です。

しかし、簡単にセックスする女性に対してはこうも思うのです。

「こいつ、俺じゃなくても誰とでも寝るんだろうな。流されやすい女だな」

最後に――究極の反面教師、シゲカヨの問題点

以上見てきたシゲカヨの問題点を最後にまとめましょう。

●「ハッピーマニア」の主人公シゲカヨは「どこにも存在しない理想の彼氏」を追いかけることでハッピーになろうとしており、恋愛以外見向きもしていない。

→仕事や趣味といった恋愛以外の部分をすべて置き去りしているシゲカヨは、男性を惹きつける魅力に欠けているのです。

●シゲカヨは片思いの相手に振り向いてもらいたいばっかりに、安易にセックスをする。

→自分の価値を低くする行為であり、男性の「追いかけたい!」という本能を削ぐ行為でもあります。こういう女性に対して、男性は「とりあえずいただいておくけど、どうせ誰とでもヤッてるんだろ」という軽蔑の心も同時に持ちます。

こうして見ると、なぜシゲカヨの恋愛がうまくいかないのかよくおわかりになるでしょう。

「ハッピーマニア」はギャグテイストの漫画ではあるものの、そこで描かれている恋愛に関するメッセージは、究極の反面教師。

私たちが幸せな恋愛をするためには、この逆をいけばいいのです。

すなわち、恋愛以外の部分でも輝ける場所を持ち、自分の価値を低くしてしまうような行動はしない。

この2つを守れば、自分が辛くなってしまう片思いを避けることができるでしょう。


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水嶋英美里

水嶋英美里

ライター。文学系の大学院を修了しており、国語科の教員免許持ち。コラムは根拠のないテクニック紹介にならないよう、「なぜこうすれば結果が得られるのか」といった部分まで踏み込んで書くことが得意。猫と文学とカモミールティーを愛する。