楽しくて時に辛い片思いが叶ったあと、そうつまりは両思いになってめでたく交際がスタートしたら。
「もしそうなったらすごく幸せ!」
とあなたは思うでしょう。
でも、
「お姫様は王子様と結ばれて、幸せに暮らしましたとさ」
なんていうのはおとぎ話の中だけ。
片思いの終わり――両思いの始まり――に必ず起きる、知っておきたいことがあるんです。
それは「理想の彼と現実の彼のギャップ」。
片思いの今から、ぜひ知っておきたい内容です。
片思い中~付き合いたては相手へ抱く「理想像」が大きくなっている
片思いの間は、その人のことに夢中で、気がつけば寝ても覚めても頭のなかはその人のことばかり、なんてことありますよね。
別の記事でも書いたのですが、片思い中は意中の人のポジティブなところが拡大されて見えてしまい、会えない時間にそのポジティブな部分が繰り返されることで、恋心はますます強いものとなります(参照「片思いの彼に試して!会えない時間に愛を育てる禁断の方法」)。ちなみに、このことは男女ともに共通。
この強くなってしまった恋心を「単なる妄想」なんていう人もいるのですが、それには理由があります。
片思い中は
●相手のいいところだけを見ている状態
●しかもそのいいところは「拡大」されている状態
からなんですね。
要するに、理想像が大きくなっているので「妄想」と言っちゃう人もいるわけ。
そして、この状態は付き合いたての期間、しばらく持続します。
交際後に相手の印象は変わる
お付き合いが長くなってくると、この「いいところ」の見え方が徐々に変わってきます。
たとえば、
「あれ? 優しいところが良いって思ってたのに、単に自分に自信がなくて優柔不断なだけの人だったの?」
「かっこいいと思っていたけど、間近で見るのに慣れてくると、大したことなかったかも……」
なんていうことが起きます。
要は「夢から醒めた」ということです。
こういう状態になっても、「まぁいいか」「それでも好きだし!」という風に思える人はいいのです。健全な心ですね。
問題は、この時に「裏切られた!」と感じる人がいることです。
「あれ? 優しいところが良いって思ってたのに、単に自分に自信がなくて優柔不断なだけの人だったの?……騙された!」
「かっこいいと思っていたけど、間近で見るのに慣れてくると、大したことなかったかも……裏切られた!」
このようになると、ちょっと言葉の印象が変わってきますよね。
また、片思い中の彼と、お付き合い後の彼とで印象が違う時がある理由はもう一つあります。
それは、お互いをよく知らない付き合いたての時というのは気持ちが盛り上がっているので、「自分のいいところ」を見せようとお互いに必死になっているからです。
しかし、付き合いが長くなってくると、気が抜けて、いいところばかり見せるのにも疲れてきてしまい、結果として以前の印象と違って見えてしまうのです。
交際開始後にわいてくる被害者感情……でも本当に被害者なの?
先ほどのように「裏切られた」「騙された」と思ってしまう人の中には、被害者感情があると言えるでしょう。
「こういう人だと知っていれば、好きになったりなんか絶対しなかった! 可哀想な私……」
という感情ですね。
でもそれって本当に被害者なんでしょうか?
確かに、相手の方で
「あいつを騙して惚れさせてやろう」
と思っていたなら問題ですけど、そういうわけではありませんよね(結婚詐欺師ならまた話は別ですけど。)?
あなたのほうで相手の方を勝手に好きになり、そのプロセスにおいて相手のいいところを拡大解釈し、うまく駆け引きし、振り向かせた。
そして今度はあなたのほうで勝手に幻滅している、と、こういうわけです。
少しキツイことを言ってしまうと、
「実際に付き合ったみたら想像していた理想とはズレがあった」
という身勝手な感想を抱き、勝手に不快に思っているだけです。
断言します!「理想の彼」なんてこの世にはいません
はっきり言いますと、あなたの思い描いていた理想の恋愛と、実際の恋愛にはズレが生じます。
大きさに大小はあるでしょうけど、「必ず」ズレはあります。
なぜなら「理想の彼」という人物はこの世にはいないからです。
理想の彼という人がもし存在したら、あなたの望むように行動し、あなたの望むように話し、あなたの望むように関係を築いてくれるはず。
でも、そんな人は絶対にこの世にはいません。
そのことは、あなたと家族や友人との関係を思い出せばすぐにわかるはずです。
家族は、いつもあなたの望むように動いてくれるでしょうか?
友人は、いつもあなたの望むような言葉をかけてくれるでしょうか?
もちろん、やったり言ったりしてくれる時もあるでしょうけど、100%ではないはずです。
でももしそうだとしても、あなたは家族や友人にそこまで幻滅はしないんじゃないでしょうか。
きっと「まぁしょうがないか」と思って、日々付き合っていますよね。
家族も友人も恋人も、根っこは同じ人間関係。
しかし、不思議な事に人間は、恋人関係だけに理想像を押し付けがちなのです。
そのため、何故か
「こんなはずじゃない!」
と被害者意識を持って怒り出す人が出てくるんです。
友人M子のエピソード――「彼女は俺の思ってた感じじゃなかった」
ここで私の友人の経験談をしましょう。
友人のM子はおしゃれで可愛い女性でした。
「クラスで一番かわいいね!」
なんて声も聞かれるほどのM子だったので、当然モテモテです。
M子に熱心にアプローチしていた人の1人が、Aくんという、イケメンだけど少しチャラい男の子。
彼のアプローチに押されて、めでたく付き合いだした2人でしたが、わずか2週間ほど後のこと。
「私、Aくんに捨てられる……」
M子が真剣な顔で、私たち友人にそう言ったのです。
しかし、Aくんが熱心にアプローチしていたことを知っていた私たちは、
「またまた~♪ あんなにアタックされて付き合ったんじゃん♪」
と茶化しつつ、スルーしてしまったんです。
M子が辛い顔をしていたというのに……。
そしてその翌日、本当にM子はAくんに振られてしまいます。
Aくんの言い分は
「思ってた感じの子じゃなくて、一緒にいても俺が楽しめない」
というものでした。
確かにM子は、見た目のおしゃれで目立つ雰囲気とは裏腹に、実際は少しシャイで、勉強も頑張る真面目なタイプでした。
その点がチャラいAくんとは合わなかったんでしょう。
でも、その時私たち友人は思ったんです。
「そんなの付き合う前にM子をよく見てればわかったことでしょう!? 身勝手すぎる! しかも被害者面かよ!」
理想の彼と実際の彼が違っても、あなたは本当に好きでいられますか?
先ほどは、男性から女性へのアプローチの例でしたが、これが逆でも本質は変わりません。
もう一度言いますが、「片思い中に抱いている、想像の彼」と「実際の彼」には絶対にズレがあります。
だから、片思い中のあなたは、そのズレそのものを受け入れることができるのか、ということもよく考える必要があるのです。
「今の私の心のなかで受け止めている彼と、実際の彼が少し違う人だとしても、彼のことを本当にずっと好きでいられるだろうか?」
ぜひ、こういう風に自問してみてください。
さもないと、あのAくんのように「なんて身勝手な」という結果になりかねないのです。
これは片思いの相手を傷つけないために必要なことなんです。
そして、あなたの「理想の彼」イメージばかりが大きくなってしまわないように、片思いの段階で相手をよく見るようにしてくださいね。それが結局のところ片思いの相手への礼儀にもなるのです。
最後に――人に長所や短所なんてない。代わりにあるのは「特徴」
よく「長所と短所」なんて言いますが、実はこの2つは分けられないものです。
時と場合によって
「あの人はおおらかだ」
「あの人は大雑把だ」
と、同じ特徴が別の評価のされ方をするだけ。
だから、あなたが感じ取った片思いの相手の「いいところ」をすぐに「長所」と思うのではなく、「特徴」だと思えば良いのです。
そして、もしめでたく両思いとなった際に、その特徴とうまく付き合えるかどうか、という視点で相手のことを見てみてはいかが。
きっとそうすることで、あなた自身が面食らったり、相手を傷つけたりすることを避けられるでしょう。