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映画「(500)日のサマー」から運命の恋愛を考える


映画「(500)日のサマー」から運命の恋愛を考える

小説や映画の中には、恋愛について描かれたものが数多くありますよね。

当然そのような作品の中から、恋愛に関するヒントを得ることだってあります。

今回は、アメリカ映画「(500)日のサマー」から、運命の恋愛や女の魅力について探っていきましょう。あなたの片思いのヒントにもなるかもしれません。

核心に触れるようなネタバレはしていないので、まだ本編をご覧になっていない方も安心してお読みください。

「(500)日のサマー」ってどんな映画? ネタバレのないあらすじ

グリーティングカード会社で働くトムは、「運命の人に出会うまで本当の幸せは来ないと信じている」というロマンチストで地味な青年。

実は建築家を目指していたが挫折したという過去を持っています。

トムは社長の秘書として入社してきたサマーに好意を抱き、彼女と音楽の好みが合うと知るや運命を感じ、サマーにどんどん入れ込んでいきます。

サマー自身はとても可愛い顔をしていますが、中肉中背の、一見普通の女性です。しかし、「サマー効果」とでも言えるような不思議な魅力で男性を惹きつけるところがあり、トムもそれに漏れずにベタ惚れ状態に。

お互いに好意を持っているものの、サマーは運命を信じない女性であり「人の所有物になるのは嫌。一人がいい。愛なんて信じてない」という価値観を持っていました。

そのためトムとサマーは恋人同士としてではなく、セックスやデートはするものの、あくまでも気軽な関係、友達の延長として付き合い始めましたが……。

ミュージックビデオを多く手がけることで有名なマーク・ウェブ監督の初映画作品。

おしゃれな演出を多く使いながら、500日間に渡るトムとサマーの関係を、日付を自由に行き来しつつ見せてくれる、2009年のアメリカ映画です。

トムがサマーに感じた運命は偶然――運命の恋って本当にあるのだろうか?

この作品のキーワードの一つになっているのが、「運命の恋」というものです。

トムは「運命の恋はどこかにあるに違いない、それが手に入れば幸せになれるんだ」と考える、典型的なロマンチストでした。

出会ったら一目で恋に落ち、ビビッと結ばれる、というのは確かに素敵なストーリーですよね。

トムがサマーに感じた好意が、運命的なものに変わるのが、好きな音楽のアーティストが一緒だったという点です。

たまたま二人きりになったエレベーター内で、トムのヘッドホンから漏れていた音楽をサマーが「それ好きよ」と伝えたことで、トムは彼女を運命の相手だと強く感じるようになったのです。

しかし、実はトムはこの一件の前からサマーに対して気になっていたので、「同じアーティストが好きだ」ということを必要以上に大きく受け止めてしまっただけに過ぎません。

偶然を運命的に感じてしまう――これこそが恋に落ちたときに多くの人が抱く素敵な錯覚なのですね(参考「片思いの彼にあなたが運命の相手だと思わせる具体的な方法」)。

現に、サマーの方はトムに何も感じずに、「愛なんて信じてない。何人も付き合ったけどわからない」と言い放ちます。

これはサマーが冷たい人間かというとそういうわけでもなく、彼女自身がまだ本気の恋に落ちたことがない、あるいは運命の恋というものに重きを置いていないからこそ言えることでもあるのでしょう。

ここで確認しておきたいのは、「トムにとって運命の恋であったものが、サマーにとっては全然そうではなかった」ということですね。片思いの恋ではこういうことがとてもよく起こります。

トムがサマーに執着し続けるのはなぜ?――感じた運命とサマーの価値

サマーのトムに対する態度は、見ようによってはひどいものです。

甘い顔して肉体関係を結んだり、ケンカして突き放したり……。

それでもトムがサマーのことを特別だと思い続けるのは、彼女に対して「運命」と「価値」とを感じていたからです。

あなたも恋愛で相手に振り向かせるためには、この2つがとても重要です。

繰り返しているように、トムは笑ってしまうくらいにロマンチストに描かれていますが、実はロマンチストな男性は多いものです。あなたがちょっとした心がけで相手に運命を感じさせることができたのなら、あなたの恋が叶う可能性はぐんとアップします。

そして、サマーには他の人に替えられない価値があるとトムは感じ続けていました。

サマー本人にはおそらく自覚がないのでしょうが、サマーはトムを振り回し、不安におとしいれる女性です。先が読めないという点で、とてもドキドキさせられるサマーは、男性にとってはぜひ振り向かせたい攻略対象なのです(参考「片思いの彼に好かれるためのテクニック!『予定調和』を崩してみよう」)。

しかし、あなたが片思いの男性を惹き付けたいと思うなら、相手の心がボロボロになるまで振り回す必要はもちろんありません。

あなたは本当はその男性に対して好意があるのですから、彼がボロボロになってしまう前に助け出し、ちゃんとしたお付き合いを始めればいいだけです。ちなみに本気の恋であればなおさらですが、中途半端に肉体関係を結んではいけません。

サマーとトムはなぜすれ違うのか?――ゆずれない価値観

キスやセックスをする関係になっても、サマーはトムに対して「あなたは親友」という態度を取り続けます。

最初こそ気軽な関係を受け入れていたトムでしたが、徐々に強いストレスに。

トムがそのことを責めると、今度はサマーがそれに反発し、ケンカになってしまいます。

さて、ではこれはいつまで経ってもトムを恋人と言わないサマーが悪いのでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。

だってサマーは最初から正直に「私たちは友人同士で、あくまでも気軽な関係」だとトムに告げているからです。

それでもトムがストレスを感じたのは、「サマーは口ではこうは言っているけど、関係が深まれば、いつかは自分のことを恋人と認めてくれるようになるだろう」と、自分に都合よく思っていたからなんですね。

しかし実際はサマーがトムに感じていたように、一度「この人は本命として無いな」と思ってしまうと、その後盛り返すのはとても難しいもの。

これは男女逆でも同じことで、もしもあなたの好きな男性があなたに対して気軽な関係を求めているのなら、そこからの一発逆転はとても難しいことだと肝に銘じておきましょう。

ちなみに、トムは自分のことをいつまで経っても恋人と認めないサマーに怒ってしまいますが、本当に彼女のことを思うのなら、気軽な関係でしか異性と関係を結べない彼女自身の心の問題に、理解を示してあげなくてはならなかったでしょう。

恋愛では「自分がこうしたいからやってくれ!」という気持ちをぶつけるだけではうまくいきません。トムとサマーのように初めから求める関係が大きく違う場合は、実は恋の進展を避ける(その恋を諦める)のも賢い選択なのです。

最後に

今回のまとめです。

  • 運命の恋なんて実は存在しない。偶然を運命と思えるのは、相手に対して好意を抱いているからにすぎない(もちろんそう思えること自体は素晴らしいこと!)。

  • ロマンチストな男性は多いので、あなたを運命の相手と思わせれば恋の成就の可能性は上がる。それと同時に、多少男性を振り回すくらいの行動を取ってドキドキさせること(※相手をボロボロに打ちのめすのはもちろんNG)。

  • 自分に都合よく相手が変わると思ってはいけない。「どのような関係でいたいのか」という恋愛の根本の価値観が大きく違い、相手が何か過去にトラウマなどある場合はそれにまずは寄り添ってあげる。もしくは、お互いが傷つけ合わないためにその恋を諦めるというのも、時には賢い選択のひとつ。あなたがひどいと思ってしまった恋愛相手は、単に譲れない価値観を主張しているだけかもしれない。

「(500)日のサマー」の冒頭で「これはラブストーリーではない」というナレーションが流れます。この言葉の解釈はそれぞれの人で違うとは思いますが、この映画がたとえラブストーリーではないとしても、恋愛に関する気づきを与えてくれる作品であることは確かです。

今回の記事はネタバレを防ぐためにあまり深入りをしていない部分もあります。トムの夢の存在や向き合い方なども考えさせられる要素なので、気になった方はぜひ本編をご覧ください。


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水嶋英美里

水嶋英美里

ライター。文学系の大学院を修了しており、国語科の教員免許持ち。コラムは根拠のないテクニック紹介にならないよう、「なぜこうすれば結果が得られるのか」といった部分まで踏み込んで書くことが得意。猫と文学とカモミールティーを愛する。