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心理学の「ストローク」とは?人とより良い交流をするために


心理学の「ストローク」とは?人とより良い交流をするために

周囲の人との交流をする中で、私たちは嬉しくなったり、逆に悲しくなって落ち込んだりすることがあります。できるならば、「嬉しい♪」と思える交流を重ねていきたいものですよね。

その願いを叶えるためのヒントとなりそうなのが、心理学の「ストローク」というものです。

ストロークについて詳しく学び、人とより良く交流をするために役立てましょう。

心理学の「ストローク」って一体なんなの?――良い働きかけと悪い働きかけ

ストロークとは、簡単に言うと「心の栄養」です。

私たちは毎日さまざまな人と接していますよね。家族はもちろん友人や恋人や職場の人、ご近所さんや店員さん。こういう人たちと交流して私たちの人生が成り立っています。

そしてこの交流から私たちはストロークをもらっているのです。

たとえばそれは以下のような何気ないやりとりから。

例1.プラスのストローク

あなた「ただいま」
家族「お帰り。遅かったね。今日も一日お疲れさま!」
あなた「ありがとう!」

このように労いと感謝のやりとりのなかで、私たちは「プラスのストローク」をもらいます。

「プラスのストローク」とは誉める、労う、感謝する、理解するなど、「自分はこれでいいんだ」という実感の持てるストロークのことを言います。

一方、「マイナスのストローク」もあります。

これは相手に対して非難する、責める、文句を言うなど「自分はだめなんだ」と思わされてしまうストロークのことです。

たとえばこのような例になるでしょう。

例2.マイナスのストローク

あなた「ただいま」
家族「遅いんだよ! 毎日毎日残業して、本当に仕事ができないんだな、おまえは!」
あなた「何よ、あんたこそ家事もろくにしないのに親の顔しないでよ!」

このようなマイナスのストロークを受け続けていると、「自分はだめなんだ」と思いやすくなってしまうんです。それほどまでにストロークの影響は大きいのです。

家族や友人や恋人などといったいつも顔を合わせる関係で、マイナスのストロークばかりを交換していると、お互いにどんどん自信がなくなり、相手のことも良く思えなくなってくるのですね。

これはたとえるならば悪い栄養をたくさんとって、不健康に太っているような状態だと言えるでしょう。

子ども時代にどのようなストロークを受けてきたかが、人格の形成に大きく影響する

ちなみにストロークの考え方は子育てにおいてもとても重要です。

幼い子どもは特にですが、家族以外に世界を持っておらず、親がすべて。

子どもの性格は、親の与えるストロークによって左右されることがかなりあるのです。

プラスのストロークで「あなたっていい子よ」ということを伝えてもらっていれば

「自分はこのままでいいんだ。価値があるんだ」

という風に肯定感を持つことができます。

逆にマイナスのストロークで「おまえはだめ」ということを伝えてもらっていると、

「自分はだめな奴なんだ。価値がないんだ」

という風に思ってしまい、自信の持てない人になるのです。

もしもあなたが自分に自信のない人であるなら、もしかして今までマイナスのストロークを受けてきたのではないかと疑ってみてください。

プラスのストロークもマイナスのストロークも、いずれも「心の栄養」であることには変わりがない

ストロークにはプラスのストロークとマイナスのストロークがあることが、おわかりいただけましたね。しかし実は両方とも「心の栄養」であることには変わりありません。

「プラスのストロークとマイナスのストローク、どっちが欲しい?」

と聞かれたらみんなプラスのストロークが欲しいに決まっています。

しかし、

「マイナスのストロークを受け取ることと、ストロークなしと、どっちがいい?」

と聞かれたら、多くの人はマイナスのストロークを求めるのです。これは腹ぺこの飢餓状態のときに、やむを得ず腐った食べ物、毒になる食べ物を食べることに似ています。

好きな子をいじめる子どもの心の根っこには、

「本当は相手から『好き』というプラスのストロークをもらいたいけど、それができそうにない。だから『イヤだ』『困った』というマイナスのストロークをもらおう」

という背景があるのですね。

ストロークとストーカー心理の関係とは

先ほどの好きな子をいじめてしまう心理のメカニズムは、ストーカーの心理のメカニズムとも近いものです。

ストーカー行為をされて喜ぶ人はいませんが、ストーカーは相手が怯えたり、怒ったり、嫌がったりする「マイナスのストローク」をもらうことが目的でストーカーするのです。相手が「マイナスのストローク」を与えてくれるたびに嬉しくなり、ストーカー行為はどんどんエスカレートしていってしまいます。

ですから実はストーカー対策では、マイナスのストロークすらも与えずに無視することが重要だとも言われているのです。

よって、少し嫌な言い方をすれば、私たちが特定の誰かさんに興味がないことを示したいと思うのなら、

「あなた嫌い! もうやめてください」

と働きかけるのではなく、

「あなたとかかわる気はありません」

とだけ伝え、あとは徹底的に無視を決め込む方法が手っ取り早いということになります。

最後に――プラスのストロークを受け取るためには自分もプラスのストロークを与えよう

プラスのストロークはプラスのストロークと交換され、マイナスのストロークはマイナスのストロークと交換されることが多いようです。

そのため、あなたがもしもプラスのストロークを得たいのなら、周囲の人に対してプラスのストロークを与える人になればいいということになります。

プラスのストロークを与えてくれる人と、マイナスのストロークを与えてくれる人とがいて、仲良くなる人をどちらかから選べるのならみんな前者にいくはずです。

もしもあなた自身が「マイナスのストロークばかり受け取っている」と思うのなら、あなたから積極的にプラスのストロークを発信してみましょう。

するとあなたのもとに人が集まってくるようになり、その相手もみんなプラスのストロークを返してくれるようになるはずです。


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水嶋英美里

水嶋英美里

ライター。文学系の大学院を修了しており、国語科の教員免許持ち。コラムは根拠のないテクニック紹介にならないよう、「なぜこうすれば結果が得られるのか」といった部分まで踏み込んで書くことが得意。猫と文学とカモミールティーを愛する。