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アダルトチルドレンと機能不全家族とは?自分の人生を生きるために


アダルトチルドレンと機能不全家族とは

「親のことを考えると胸が苦しい」

「今の抱えている問題は、育ってきた家庭が原因の気がする」

そのような思いを抱えている方、もしかしたら「アダルトチルドレン」と呼ばれる状態にあるかもしれません。アダルトチルドレンの育ってきた家庭のことを「機能不全家族」と言います。

今回はアダルトチルドレンと機能不全家族についてわかりやすく解説し、あなたが今の状態から脱するための考え方を、例を挙げながら紹介します。

「アダルトチルドレン」や「機能不全家族」とは?

「アダルトチルドレン(AC)」とは、「子供の頃の家庭の問題を背景に、抱えたまま大人になってしまった人」のことを言います。あくまでも状態のことを言い、病気のことではありません。

うまくいっている家庭は、

「家族に思いやりをもって接する・家族の嫌がることはしない」

「子供の才能を親が認め、子供のやりたいことを親が応援する」

「子供はそんな親を尊敬して感謝する」

などといった、家族みんなが笑顔になれる環境が整っています。

しかし、もしもそれとは真逆の家庭があったとしたら?

「家族に対して思いやりがない・家族の嫌がることであっても自分がいいと思えばやる」

「子供の才能を親が認めず、子供のやりたいことに親が嫌な顔をする」

「子供はそんな親を見て落胆したり、怒りや悲しみを感じる」

こういったよくない状況にある家族・家庭を「機能不全家族」と呼びます(もとはアルコール依存症の親のいる家庭を指していましたが、現在はこのような「良くない家庭」全般のことを言います)。

過保護、過干渉、無視、褒めない、暴力、条件付きの愛情……機能不全家族ではこういったことが当たり前に日常に登場します。

機能不全家族で育つと、子供は伸び伸びできず、どんどんおかしな方向に追いやられていきます。

「こんな親どうでもいいや! 困らせてやる!」と不良化したり。

「こんな親でも親なんだから従わなきゃ……」と過剰に良い子を演じたり。

「僕が笑わせて家族を明るくしよう!」と無理してピエロになったり。

「自分の意見は封じておこう」と自分の意見の言えない人になったり。

といずれにしても強いストレスを感じ、その後の人生で主に人間関係でのトラブルを抱えることになります。

彼らがアダルトチルドレンなのです。

あるエリート男性の例――アダルトチルドレンは自分の人生を生きていない

アダルトチルドレンであるかどうかは、他人から見たその人の人生の成功などからは判断できません。あくまでも自分自身の問題なのです。

ここに超エリートの男性がいたとします。

一流大学を出て、官僚になって、今も仕事のできる男性です。

顔もイケメンだし、女性にモテる!

「あいつ人生楽しそうだなぁ」とまわりもうらやみます。

しかし彼が実は、親に以下のように言われて育てられてきたとしたら?

「優秀ではないと意味がない!」

「優秀な成績ではないとうちの息子とは認めない!」

「一流大学を出て良い就職先に入りなさい!」

「お嫁さんは美人でスタイル良く、もちろん学歴もなきゃダメ。そうじゃなきゃ認めない!」

彼は親の要望通りの妻を見つけて結婚しますが、自分がされてきたような教育しかすることができません。

そのアプローチ方法しか知らないからです。

「優秀じゃないと意味が無いのに、どうしてこんなにお前の成績は悪いんだ? もっと勉強して、俺を満足させろ!」

そう娘や息子に言います。

彼は家庭内の暖かさを育めず、またもや機能不全家族が連鎖していくのです。

このエリートの例は、機能不全家族とアダルトチルドレンでよくあるパターンの1つです。

そしてある時冷え切った家庭の中で、彼は気が付きます。

「思えば俺の人生って、親の虚栄心のために言いなりになってきただけじゃないか?」

「その結果、自分の娘や息子にも同じことをしてしまっているんじゃないか?」

そう、アダルトチルドレンは「自分の人生を生きていない人」でもあるんですね。

でもじゃあ彼はどうしたら、どうすれば良いのでしょうか……(これについては記事の最後に)。

親であろうが家族であろうが他人。まして子は親の所有物ではない

機能不全家族に限らず「親」について考えるときに難しいのは、それが血の繋がった存在であり、「父や母やきょうだいは、他の誰とも違う特別な存在だ」という意識があるからです。

おまけに家族の人間関係が育まれるのは家庭という閉じこめられた空間で、外部の人の目が入りにくいという特徴があります。

しかし誤解を恐れずに言えば、「親や家族とは言え、世の中の人はみんな他人です」

これは「世の中の人はみんな他人なのだから所詮わかりあえないものだ」という悲しい話ではなく、「世の中の人はみんなそれぞれ別の個性を持った他人なのだから、最大限にわかりあうように努力しなくてはいけない」という意味です。

さらに言えば、生まれ出た命は相手がたとえ娘や息子であってもその人たちのもので、人間は誰かの所有物ではありません。

「家族なんだから傷つけてもいいんだ」

という風に思っている人は、この部分を勘違いし、家族を自分の所有物のように捉えているのですね。

先ほどのエリート男性の親にしても

「私の息子なのだから、なにがなんでも優秀ではないといけない!」

という自分の意見ばかりを優先させ、息子もそれができたばかりに従ってしまいました。

そして本当は無理をしているのにそれに目を向けないままに大人になり、自分が子育てをしている段階で初めて何かがおかしいことに気がついたのですね。

アダルトチルドレンから脱するために知っておきたい3つのこと

1、親と子は他人同士であり所有物ではない

繰り返しになりますが、親と子は他人同士であって所有物ではありませんから、思い通りにならないことがあるのは当たり前。あなたが従わなくていいことばかりです。

確かに家庭内の娘や息子がまだ判断能力の未熟な子どもであった場合、保護者として親の意向が通るのは仕方がありません。

しかし、あなたはもう大人。

少なくとも子どもが思春期を迎えて大人の準備段階に入れば、親も子離れをし、子どもに対して「大人同士として」接していかなくてはなりません。

それができないような親はそもそも親失格で、あなたが従う義理はないのです。

2、子は自分の人生を自分の判断で生きていいし、そうするべきである

機能不全家族の親は、子の人生と親である自分の人生との境目がわからなくなってしまっています。だから、子であるあなたのほうがバッサリ「ここからは私の人生です」と線引きをしなくてはいけません。

それが「自分の人生を生きる」ということです。

たとえば

「一流の就職先に行きなさい」

という親に対して

「いや、大学を出たら自分で起業してみるよ」

と断言して実行する権利があなたにはあります。

同じく

「安定した職業の相手じゃないと結婚は許さないわ」

という親に対して

「私は私の好きな人と結婚するから」

と言ったっていい。

自分の人生の判断を自分でしましょう。責任は伴うけど、あなたの心は楽になります。

それに、親の良いと思った就職先が実はブラックだったり、選んだ結婚相手がとんでもない人だったりしても親は責任を取ってはくれません。

3、親の発言はリクエストであって命令ではないから応えなくてもいい

ここまでお読みになって、

「そんなことを言われても、親の命令には逆らえない……」

と思ったあなた、そのままでは一生苦しむことが決定です。

あなたは親の「~しなさい」を命令だと思っているようですが、そんなの幻です。実はこの世に命令なんてものは存在しておらず、あるのはリクエストだけ。

ラジオのMCが

「リクエスト曲はいっぱい来てるけど、今回は時間がないので見送りまーす!」

と言うのと同じように

「親からこんなリクエストがきてるけど、自分の考えとは合わないから今回は見送りまーす!」

くらいの感覚でOKなんです。

あなたが毎回リクエストに応えていると、親も「私の言うことに応えるのは当たり前よ」という勘違いをします。

だから毎回リクエストに応じなくていいし、それがむしろ当たり前なんですよ。

うまくいっている親子関係では、親もリクエストだと思っているから応じてくれなくても騒がないし、子供もそれがリクエストだとわかっているからその時ごとに応じるか応じないかゆるく考えて対応しているんです。

あなたもそれができたらずいぶん楽になるでしょう。

ひどいことをしてきた機能不全家族の親を許すべき?

自分に対してひどいことをしてきた機能不全家族の親。

「できれば縁を切ってしまいたい」「許せない」と思う人もいるでしょう。

しかしそんなことを誰かに言えば

「親と縁を切るってひどくない? なんだかんだ育ててくれた恩があるのに……親不孝じゃないの?」

といった、まるであなたが悪者かのような反応が返ってくるかもしれません。

しかしそんなの気にせず、あなたが縁を切りたいと思えば、切ってしまってかまいません。だってその発言をした人は、あなたの苦しみなんかちっともわかっていません。おそらくごく普通の家庭で育った人なのでしょうから。

ただ事情を知らない人に一方的に「親不孝者」と言われるのはあなたも辛いでしょうから、人に話すのはおすすめしません。

また、「親を許せない」という感情も無理に捨てることはありません。

ただ「許せない!」という気持ちがいつも心のなかにあるのは苦しいことです。だから、その気持ちがなるべく入り込まないように、あなたの楽しめることをなんでもやってみましょう。ポジティブな感情で心を満たすのです。

もしも親が自分の近くにいて辛いなら、引っ越しなどして距離をおきましょう。未成年でも寮に入れたり、一人暮らしができそうならぜひそうしましょう。さもないとずっと幸せになれません。

最後に――あなたの人生の優先事項を明らかにしよう

アダルトチルドレンと機能不全家族について、いかがでしたか。

親と子はあくまでも他人ですから、あなたは親に苦しめられてはいけません。

親に何かされたり言わたりして、あなたがそのことでひどく傷ついたとしても、そんなこと本当は気にしなくていい、どうでもいいことなんですよ。

だって「子は親の所有物でないし、命令はできないから」。

記事中にエリートの男性の例を挙げましたが、彼が人生の途中で自分の抱えてきた問題に気がついたことは素晴らしいことでした。

「自分は親の言いなりで生きてきて、それが苦しかったはずなのに、親になってみれば娘や息子にもどうやら同じことをしている」

このように、自分の問題に気がつくと変わるチャンスが生まれます。

今こそエリートの彼が人生の優先事項を変えるときなのです。

①「今まで通り娘や息子に命令をして思うがままにする・でも嫌われて家庭は冷え切る」

なのか

②「自分の過去の家庭の問題と、娘や息子は思い通りにならないことを認める・でも家族の関係はうまくいくかもしれない」

なのか選ばなくてはいけません。

あなたも自分の抱えている問題に気がついたら、自分の人生の優先事項について考えてみてください。

少なくとも「過去の問題を引きずって、親に支配され続けること」は、第一優先ではないはずです。

その優先事項を達成するために、あなたは自分の人生を生きてください。


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水嶋英美里

水嶋英美里

ライター。文学系の大学院を修了しており、国語科の教員免許持ち。コラムは根拠のないテクニック紹介にならないよう、「なぜこうすれば結果が得られるのか」といった部分まで踏み込んで書くことが得意。猫と文学とカモミールティーを愛する。