「あなたって、○○な人だよね~」
なんて言葉、誰もが言ったことがあると思います。
もしも自分が言われる立場だったらその内容に従って、
「○○な人って言われて嬉しい」と思えたり
「○○な人って……言われたくなかったなぁ。自分がそんな人だったとしたらショック」「(卑屈になって)どうせ私は○○な人だもん」と思ってしまったりすることもあるでしょう。
実は「あなたって○○な人だよね」と決めつけられると、あなたは本当に「○○な人」になってしまうことがあるって知っていましたか?
これを「ラベリング理論」と言うのです。
自分の魅力や能力をあげたい人、自分に自信がない人もぜひ本記事を読み、ラベリング理論を味方につけてください。
ラベリング理論ってなんだろう?
「ラベリング理論」とは、社会学者のハワード・ベッカーという人が唱えた理論で、現在では社会心理学の1つに数えられています。
「ラベリング」とは、そのまま「ラベルを貼ること」。
ある人に「あなたは○○な人だ」というラベルを貼ることによって、その人が実際に「○○な人」という行動を取るようになる、という説です。
よく「レッテルを貼る」という表現もありますが、同じ意味ですね。
実際に行われた実験の例を挙げてみましょう。
ここに何十人かの児童がいます。
この児童たちに、特になんの意味もない試験問題を受けてもらいます。
そして「試験結果に従って2つのグループに分ける」と嘘をつき、実際にはランダムに2つのグループに分けました。
さらに、それぞれのグループを受け持つ教員には
「Aグループは才能があるので、この後学力が伸びます!」
「Bグループは残念ながら、あまり期待できないでしょう」
と伝えます。
すると半年後……
Aグループの児童は本当に学力がアップしたのです。
これは以下のような心理的なプロセスがあったためと考えられます。
まず教員がAグループに対し「君たちは期待ができる児童なのだ」という風に無意識に接し、
↓
教員の言葉や行動を敏感に察した生徒たちが、自分たちを「僕たちはできる子どもなんだ!」とラベリングし、
↓
実際に「できる子ども」の行動を取るようになった(勉強に積極的に取り組むなど)結果、
↓
本当に学力がアップした。
と考えられるのですね。
ラベリングによって、自分自身へのイメージ(セルフイメージ)が作られる
「君は○○だ」と言われる環境にいると「そっか、私は○○なのね」と思い込み、それに従った自分に対するイメージ(これを「セルフイメージ」と言います)が出来上がります。
もちろん、セルフイメージにも「良いセルフイメージ」「悪いセルフイメージ」両方があります。
先ほどの例の場合、学力がアップしたAグループは「自分は勉強ができる優秀な人間だ!」という良いセルフイメージを作ることができたため、それに沿った行動が取れるようになりました。
しかし、「あまり期待できない」というラベルを貼られた、Bグループはどうでしょうか?
この結果についての詳しいところはちょっとわからないのですが、もしも教員が「期待できないあなたたちには、何をしても無駄ね」といった接し方をしたとしたら、やはり「自分はできない人間だ」というセルフイメージができ上がってしまうに違いないのです。
ラベリングによって、いかようにもセルフイメージは変化する、ということなんです。
日常で見られるラベリング
ネガティブなラベリングの例
では、このラベリング理論、生活のどのような部分に存在しているのでしょうか?
わかりやすい例を挙げて考えていきましょう。
ここにとても素敵な女性がいたとします。
美人でスタイルも良くて、性格もいい!
しかし、なぜか口の悪いダメな男と付き合っています(いわゆる「だめんず・うぉ~か~」!)。
ダメな彼氏は彼女に言います。
「お前、世間では美人だとかスタイルが良いとか言われてるようだけど、本当はたいしたことないぞ。仮にお前がちょっとは魅力的だとしても、完璧ではないし。そんなお前と付き合っている俺ってすごく優しいんだぜ」
彼女は内心では「なんてひどい!」と思いますが、彼のことが好きなので許してしまいます。しかし彼は上記のようなことをたびたび言い続けます。
すると彼女のセルフイメージは、どんどん下がっていきます。
そのうち、
「もう知らないわこんな男!別れてやる!」
とブチ切れてお別れできればまだ良いほう。
「私はブスなんだわ……」
「スタイルも良くないし……」
「そんな私と付き合ってくれている彼は、なんて優しいのだろう。別れらないわ」
と言いながら彼女は彼氏と別れないのが、最悪のパターンです。
……もうお分かりになったと思いますが、これは彼氏による「ラベリング理論」の悪用とも言えるものです。
本当は美人な彼女に、「たいしたことない」などとラベリングして、本当に「たいしたことない女性」の行動を取るようにさせて支配してしまったのですね。
ポジティブなラベリングの例
先ほどの例でもわかったように、ラベリング理論では基本的にネガティブなラベルを貼ったり、貼られてはいけません。
ラベルの貼られた相手はどんどん弱り、関係はうまくいかなくなって(もしくは不健康な関係になって)しまうからです。
さて、では先ほどの例に出した、本当は美人な彼女にまた登場してもらい、今度こそ幸せになってもらいましょう。
ダメな彼氏に傷つけられて別れた彼女は、素敵な男性と新しく出会いました。
その彼は彼女に言います。
「君はすごくキレイでスタイルも良いね!」
「君みたいな優しい女性、初めて出会ったよ」
すると今度は彼女はこの彼のポジティブなラベリング(キレイでスタイルも良く、優しい)に従って、本当にそういった女性に戻れるのです。それどころか、彼の言葉に説得力を感じれば感じるほど、どんどん彼女は魅力的になれるのです。
これはもちろん、彼女自身が
「そっか、私って魅力があるんだ」
と「美人でスタイルも良く優しい」という自分のラベルを受け入れられるようになって「そういう人が当たり前に行うであろうこと(美容に力を入れる・体型に気遣う・心配りをするなど)」を自然にできるようになるからです。
でも、本当はそれだけではありませんよ!
魅力的で好感を持てる男性によるラベリングなので、「この人がそう言っているのだから、もっと頑張って自分磨きをしよう!」と思えるようになったということも、すごく重要な事なのです。
人は皆、素敵な人からもらったポジティブで素敵なラベリングによって、もっともっと素敵! になれるということなのです。ですから私たちは素敵なラベリングをしてくれる男性とお付き合いすれば、幸せになれるんですね。
ぜひ今パートナーのいない人は、恋人選びにそういった視点も入れてみてください。
パートナーのいる人は、その人があなたに素敵なラベルを貼ってくれる人かよく見抜いてください。
自分自身でポジティブなラベリングをしてもいい!
先ほどの例を見て、
「私にポジティブなラベルを貼ってくれる素敵な男性なんていない……」
と思ってしまった人もいるかもしれません。
もちろん、あなたが素敵だと思う人からラベリングされるのは最高にいいことですが、別に相手は恋愛関係の人でなくてもいいのです。
両親や家族の誰かから言われた、「あなたって本当に友達想いね」という言葉もポジティブなラベルですし、親友から言われた「あなたって笑顔がすごくかわいい」という言葉もそう。
なんなら、自分で自分をラベリングしてしまってもかまわないのです。ぜひ自分の長所を思い浮かべて、「私って○○な人」と、あなたなりのラベリングをしてみてください。
どうしても思い浮かばないのなら、こんな方法もあります。
あなたの血液型や、星座にそった占いの結果を見て、そこからポジティブで「ちょっと当たっているかも」と思える部分を抜き出してみてください。
「△△座のあなたは、感受性豊かで芸術的な才能があります。グループの中では隠れたリーダーシップを発揮し、時に人をあっといわせることがあります。・・・」
なんて文章を参考にして、ぜひ自分自身にラベルを貼ってみて。
占いは「当たるも八卦当たらぬも八卦」と言われますが、自分自身をラベリングして魅力をアップさせるのにも役立つのですよ。