生きていると辛いことが起きてしまうこともあります。
その中で、「あいつだけは絶対に許せない!」「私はひどいことをされた!」という風に強い感情を抱いてしまうこともあるでしょう。
この感情、とても強いパワーなので、私たち自身にさまざまな影響を与えてきます。
このパワーを良い方向に活用することもできなくはないですが、ずっと「許せない!」という感情を抱えたままでは、人生にマイナスになってしまうことのほうが多いもの。
もしもあなたが「絶対に許せない!」という強い感情を今抱えているのなら、今回の記事を一読してみてください。
どうして人間は「許せない」と思うのか?
あなたは今「ある人が許せない」という気持ちになっていますよね。
さて、そもそもどうして「許す・許せない」という気持ちになるのでしょうか?
それはたとえばあなたが恋人に対して、
「何かを持って行かれた(奪われた)!」
「私は被害者だ!」
という気持ちを持っているからです。
「自分は相手から被害を受けた側の人間だ」
という風に思っているのですね。
確かにその人は、ひどい人であったかもしれません。
その許せない人が元恋人であったのなら、あなたに隠れて浮気をしたり、約束が守れずに嘘をついたり。
その他にも不誠実なことをして、あなたを怒らせたり、悲しませたりしたんでしょう。
それで結局うまくいかなくなり、別れてしまったんですね。
もしも、その元恋人とのことがきっかけで、あなたが心や身体の調子を崩してしまったとします。
しかし一方で元恋人はすごく幸せそうだったら、
「なんであいつばかりが幸せになるの!? 私は不幸なのに……」
とやるせない気持ちがわいてくるでしょう。
そしてやっぱりあなたは思うのです、「あいつだけは許せない」と……。
ですから、あなたが相手を許すためには、自分が幸せになってしまうのが手っ取り早いんですね。
ネガティブなパワーを良い方向に使ってみよう!
幸せになるのが「許す」ことの近道。
しかし、「許せない」を抱えたままでいると、幸せにはなりにくいのです。
「あいつだけは許せない!」
そのように思っている場合のネガティブなパワーの強さは、ある意味素晴らしいものです。
「あいつに復讐してやるためなら、なんだってやってやる!」
という強い思いは、時にものすごい結果を出します。
ものすごい結果、というのはそのパワーを向ける方向性によって違うものとなります。
たとえば、
「あいつだけは許せない! 絶対にキレイになって見返してやる!」
という風に自分磨きの方向にそのパワーを使えたなら、あなたは今よりもずっとずっと、本当にキレイになれるでしょう。
これはパワーを良い方向に変えることのできた例。
どうしてもあなたが相手を許せないのなら、それを自分磨きに活かせないか、まずは考えてみて。
一方、良い方向にパワーを使えなかった場合。
たとえば、
「あいつだけは許せない! 殺してやる!」
と物理的に相手を傷つける行為を行ったなど……これでは、とても怖い結果になってしまいそうですよね。相手の人生も、あなたの人生もめちゃくちゃになってしまうでしょう。これはあなたのためにも、もちろんやってはいけないことです。
こうなればあなたは「幸せ」からますます遠ざかってしまいます。
「許せない」というネガティブなパワーを抱えていると、人生が楽しめない
ネガティブな「許せない!」というパワーを良い方向に変えることもできず、胸に秘めたままでいると、あなたはすごく疲れてしまいます。
そりゃそうです、だってその状態って「過去にとらわれて、いつまでも過去の感情に振り回されている状態」だからです。
普通人間は、今目の前にある楽しいものを楽しいと感じるようにできています。
しかし、過去のことに対して「許せない!」と思っているうちは、その楽しいものを心の底から楽しめない状態であると言えます。常に心のどこかすみっこに、「許せない!」がいるのですから……。
要するに、「許せない!」という気持ちをずっと抱え続けることは、生きている上で不自然なことであり、あなたにとって心の負担となるのです。
だから、「許せない」を手放して「許す」にシフトすることは、実は相手に対してではなく、あなたにとってメリットがあるということをよく覚えておいてください。
1つは今ご説明したように、あなたの気持ちが自由になるというメリット。
そしてもう1つは、次から説明する、あなた自身の魅力にかかわることです。
この2つのメリットを理解できれば、あなたは「幸せ」に近づくことができます。
「許せない」という感情を抱えているままの人は魅力的に見えない
「あいつ許せない!」という感情を抱えている人は、女性に限らずみんな魅力的に見えません。
以下に話すのは筆者のエピソードなのですが……。
数年前、たまたま小学校時代の同級生(男性)と再会しました。その時「実は小学生の時、君のことずっと好きだった」と言われて、一緒にお食事に行く関係になったんです。
見た目に素敵な男性になっていたし、その時は恋人もいなくてフリーだったので、決して恋愛対象外ではありませんでした。
でもその彼、思い出話の中で
「小学校の時に僕をいじめてきた○○たちが嫌いだった」
「あいつら全員に復讐してやりたい」
「でも君のことは、大好きだった」
ということをたびたび言うんですよね。
その時私は
「あーあ、この人は『許せない』をずっと抱えている人なんだな」
と残念に思ってしまいました。それ以来連絡を取ってはいません。どうしても、そのマイナスな部分が気になってしまって。
たとえそれが自分に向けられたものではなくても、
「嫌いだった!」
「今でも恨んでいる!」
「許せない!」
などといった言葉を使う人や、そんな感情を抱えている人のことは少し怖く感じてしまって、魅力的に見えませんよね。
それこそ「君のこと大好きだった」という言葉が吹き飛んでしまうくらいに、ネガティブな内容なのです。
この彼の例の場合は、あからさまに「許せない!」を外側に出してしまう人でしたが、仮に内側にでも強い「許せない!」を抱えている人であれば、ネガティブな印象は強くなってしまうでしょう。
「この人とは一緒にいても、楽しい未来が見えない」
という風にまで、思われてしまうかもしれません。
そう思われてしまっては、新しくいい友人や恋人を作るのが難しくなってしまいますよね。世界を広げるチャンスも逃してしまいます。
「許せない」と思った相手を許せるようになるために
では、どうすれば許せないと思った相手を、許せるようになるのでしょうか。
いくら口では「許す」という風に言ってみても、内心納得できないことのほうが多いでしょう。
「あいつのせいで私の人生めちゃくちゃ!」
「とんでもなく辛い思いをした!」
「あいつばかりが、幸せになるなんて許せない!」
とまで思ってしまったら、すぐにその憎しみを取り去ることは難しいですよね。
最初は許せなくていいのです。
ゆっくり、長期戦で、徐々に許していけるようになれればいいのです。
それにはまず、「許せない自分自身」が存在することを認めてあげましょう。
そして、「どうして、あなたが『許せない!』とまで思ってしまう出来事が起こってしまったのか」を考えましょう。
(確かに相手はあなたにひどいことをしたのでしょう。しかし、あなたのほうは、それに対してどういうことができましたか。もっと自分自身に優しい対処法はなかったでしょうか……?)
考える時も無理をせず、心の余裕のある時でいいのです。
あなたは被害者意識を持って「大切にされなかった」「ひどいことをされた」と思っているかもしれませんが、そもそも人間関係は物のやりとりではありません。
「大切にしてもらったら、それに見合ったものを素敵なことを返さなくてはいけない」
「ひどいことをされたら、その倍の素敵なものを受け取れるようになっている」
という決まりがあるわけではないのですね。
もちろん、それがかなり一方的でひどい「いじめ」のようなものでも変わりません、残念ながら。
しかし、決まりはなくても良好な人間関係が築ければ、お互いがお互いのためを想って、相手の喜ぶような行動を取れるようになります。
今は「許せない!」という感情で苦しくても、相手を許し、そして忘れてしまうこと、あるいはその時の経験を今後に活かすように考えるのが、幸せのはじまりなのです。
心配しなくても、あなたにはとてもいいところがたくさんあるはずです。
そのいいところを「許せない」ネガティブなパワーで隠してしまってはもったいないのですよ!