恋愛にも活かせる「虚偽記憶」って何?記憶は作られる!

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昔の写真アルバムなんかを見ていて

「ああ、この時ソフトクリームこぼしちゃったんだよね」

「このあと、確かおしゃれなカフェに行ったんだった」

なんて過去の記憶を振り返ること、誰だってありますよね。

しかし、その時の思い出の記憶が、本当に正しいかはわかりません。

というのも「記憶は作られる」から。そして作られた記憶のことを「虚偽記憶」と呼びます。

虚偽、というとまるで悪いことのようですが、実はこれを逆手に取って恋愛に活かすこともできるんです。

今回は虚偽記憶の詳しい説明から、恋愛への活かし方までお伝えしましょう。

私たちの思い出の記憶は完璧なものではない!――記憶は作り変えられる

私たちはみんな記憶力を持っており、そのおかげでたくさんの思い出もありますよね。

幼いころに、家族で行った海水浴や……

中学時代の部活動……

つい先週に起きた、素敵な人との出会いなんかもそう。

昔馴染みの友人と思い出話をしていて、

A子「小学4年の夏祭りの時、B子が財布落としちゃったんだよね!」
B子「そうそう。それで私だけじゃなくてみんな大慌てで……」
C子「半べそで交番に行ったら、イケメンの男の人が届けてくれた直後だったんだよね♪」
A子・B子・C子「そうそう、そうだったぁ!」

なんてエピソードを共有することができます。

でも、このエピソードを本当に隅から隅まで全員が共有しているかと言うとアヤシイものなのです。

実は「私たちの記憶は完璧なものではなく、後からどんどん作り変えられるもの」だからです。

ですから、ここでもうひとりの女性が

D子「ねぇ、財布を届けてくれたのは、イケメンじゃなくてロングヘアの女性じゃなかった? 確かに雰囲気はクールで、かっこいい感じではあったけどさ」

なんて言い出すこともあるのです。

記憶は何度も編集される!「虚偽記憶」とは

先ほどの例だと、実際に交番に財布を届けてくれたのが男性だったのか女性だったのか定かじゃありませんね。

もしかして、イケメンの男性とロングヘアの女性のカップルだったのかもしれません。

あるいは、また全然違った人だったのかもしれません。

いずれにせよ、「A子・B子・C子の記憶と、D子の記憶が違う」ということだけは確かですよね。

このように基本的に人間は自分に都合よく、自分が「このように憶えておいたほうがいいな」と無意識で感じたままに、実際の出来事を編集して記憶しています。

これは映像の編集にも似ています。

何人かの人に、まさに今撮影してきたばかりの映像を渡して、

「この映像にストーリーをつけるように編集して、一週間後に提出してください」

と言えば、まったく違ったストーリーがいくつも生まれることでしょう。

ここまで極端ではないにせよ、記憶のメカニズムも同じようなものなのです。

さらに記憶は、一度編集が済んでしまった映像よりも、何度も何度も書き換えが可能なものです。

たとえばこんな風に……

A子「確かにD子の言うとおり、財布を届けてくれたのはロングヘアの女性だったかも」
B子「えー? そうだったっけ?」
C子「ううん、イケメンの男性だったよ。ただ長髪だったんだよ、確か」
D子「あ、C子の言うとおり、長髪の男性だった気もするな~」
B子「そうそう、長髪で髭を生やしていたんだよ」
A子「……ミュージシャンっぽかったよね?」
全員「そうそう! 財布を届けてくれたのは長髪で髭の生えたミュージシャンっぽい男性だった!」

おやおや、はじめは「イケメンの男性」というだけだったのが、D子の「女性だったのでは?」という発言をきっかけに、「長髪で髭の生えたミュージシャン風男性」とずいぶんはっきりしたイメージに変わりましたね。

このように記憶に上書きして、新しい記憶が作られることを「虚偽記憶」と呼びます。

ここまで4人の共有イメージができると、もうこの思い出の男性は「長髪のミュージシャン風男性」に決定です。それが果たして事実だったのかは、もちろん知る由もありませんが。

過去の恋人との思い出が美化されるのも、「虚偽記憶」のせい

この「虚偽記憶」、実はとてもやっかいもので、嫌な話ですが事件の冤罪の手助けをしてしまうことがあります。

「確かに私はあの人が、あの場所で被害者を刺すのを見ました!」

なんて事件についての虚偽記憶を持った人が証言してしまい、それが有力な証拠となって無実の人がぬれぎぬを着せられることがあるからですね。

もちろん、証言した人も自分の記憶に間違いはない、と信じ込んでいるわけで、それがより一層やっかいなのですが。

恋愛シーンなどの身近な例でも、虚偽記憶が作られることがあります。

たとえば、昔の恋人と別れたあと

「ああ、あんなに素敵な恋人だったのに……」

と、相手の人柄や思い出を美化してしまうことも、虚偽記憶の一種なのです。

「素敵だった元恋人!」という風に、記憶を編集してしまっているのですね。

だから、もしもあなたが

「元カレを忘れられない」

「あんないい人とはこの先、出会えないに違いない」

と思い込んで苦しい状態ならば、自分が虚偽記憶を作ってしまっている可能性を考えてみたほうがいいでしょう。

虚偽記憶を逆手に取って、恋愛相手とさらにいい関係になれる!

過去の恋愛を美化しすぎるのはいただけませんが、この虚偽記憶のメカニズムを逆手に取って、恋愛に活かすこともできると考えられます。

たとえば、あなたがこれから恋に落ちそうな相手や恋人と話していて、

「初対面の時、私の目をじーーっと見つめてくれたよね?」

「あの時はお天気がすごく良くて、なんかいいことありそうな気がしてた♪」

なんて言ってみましょう。

すると男性の方でも、

「確かに俺は彼女の目を見つめた。あの時からこの女性のことが気になっていたんだな」

「そうそう、天気が良くて俺も気分が良かったのだ。俺もいい予感がしていた」

なんていい具合に、虚偽記憶を作り出してくれる可能性があります。

あなたに対するプラスイメージの虚偽記憶を何度も繰り返すことで、あなたに対してさらに魅力を感じるようになります。

「忘れっぽい男性にイライラしている女性が知っておきたいこと」という記事で、男性と女性の記憶力の違いについて詳しく書いたのですが、過去の出来事を記憶しておく能力は、女性の方が得意なのです(あくまでも傾向としてですが)。

そのため、頼りない記憶力を都合の良いように再編集する力も、男性の方が高いかもしれません。

こうやって、あなたと彼との間に共有の虚偽記憶を作っていくと

「出会ったときからお互いに気になっていて、運命的にビビッときた!」

という話が、二人の間では固定のエピソードになってくる可能性があります。

それが本当に事実であったかどうかはさておき、そういった共有の意識を持っていられるのって素敵なことですよね。

どんどん思い出が積み重なり、おまけにそれらがイイ感じに美化されていくのなら、2人の関係にはいい影響しかないと言えます。虚偽記憶って悪いことばかりではないのですね。

ただし、共有の虚偽記憶を作っていくには、今現在お互いがお互いにいい印象を持っていなくてはなりません。

まったく興味のない女性から、

「初対面の時、私の目をじーーっと見つめてくれたよね?」

なんて言われても

「いやいやしてないし。誰かと間違ってるよ!」

と言いたくなるに違いありません。

虚偽記憶は「そうであってほしい」という無意識での思いが作り上げるので、「この女性とは運命的な関係なんだ」という男性側の思いがあればあるほど(=魅力的なあなたに惹かれていればいるほど)、作られやすくなることでしょう。