涙がストレス解消になるメカニズムと涙が止まらないその理由

涙がストレス解消になるメカニズムと涙が止まらないその理由-01

「涙を流して泣くとストレス解消になる!」なんて話、あなたも聞いたことはないですか?

なぜ涙を流すと心がすっきりするのか。それには涙が私たちの自律神経に大きく影響するからだったんです。

今回の記事では涙の種類や涙のもたらす良い影響の話、涙が止まらないその理由まですべてお届けします!

涙の種類3つと、涙が自律神経に与える良い影響とは

私たちの目から出る「涙」には3種類あります。

  1. 基礎分泌・・・通常瞳を潤すための涙
  2. 反射性分泌・・・刺激(ゴミが入った・何かにしみるなど)に反応して出る涙
  3. 情動性分泌・・・喜怒哀楽の感情が高ぶって出る涙

「かなし涙」や「うれし涙」は当然3の「情動性分泌」の涙ということになりますね。

ではなぜ感情が高ぶると、私たちは涙が出るのでしょうか?

まず、感情が突き動かされると私たちの脳にある、大脳が刺激を受けます。

さらにその下の視床下部が刺激を受けます。視床下部とは、自律神経をつかさどる場所です。

この自律神経が、心臓を動かすなどの私たちの意識下にない体の動きをコントロールしているのですね。

自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」とに分けられ、この2つをうまく切り替えながら、私たちの体を覚醒させたり、リラックスさせたりします。

  • 交感神経・・・運動時など、身体が興奮している時に活性化する神経
  • 副交感神経・・・身体が落ち着いている時に活性化する神経

私たちは日中活動しているので、日中は交感神経が優位でなければなりません。逆に夜は体を休めるために、副交感神経が優位でなければなりません。

しかしこれが乱れると、「夜で体を休めるべき時間なのに、胸がドキドキして眠れない」などといったことが起きてしまい、疲れが取れなくなり、ストレスもたまってしまいます。

労働に追われ、夜も明るい照明のもとにいる現代人は、このような交感神経優位の状態になりがちなんですね。

だから、たまに副交感神経を優位にし、自律神経を整えることはとても大切なのです。

さて、話を涙に戻しましょう。

情動性分泌の涙によって泣くと、副交感神経が優位になり、体は落ち着き、リラックスモードに入ります。

ですから、泣くことで体は休まるんです!

これが「泣くとすっきりする」「ストレス解消になる」と言われる理由であり、実際に体にも心にもとっても良いことなんですね。

「涙が止まらない」理由――情動性分泌の涙は人をリラックスモードに

日常生活の中でも感情が高ぶり「涙が止まらない!」という状態になることありますよね。実はこれも上記のことと関係しています。

私たちは毎日ストレスを感じていると、

「これに応戦せねば!」

「なんとかくぐりぬけなきゃ!」

という覚醒モードに入ります。

自律神経のうち体を覚醒させるのは、交感神経でしたよね? だからあなたがストレスを感じていればいるほど、交感神経のほうばかりが活性化してしまいます。

そこであなたの体は「これはヤバい!」と感じ取り、

「涙を流して副交感神経を活性化させ、リラックスモードに切り替えよ!」

そう指令を出すのです。

これが「止まらない涙」の理由なんですね。

また、「ストレスを感じていることによって体の中で有害物質が増え、これを体の外に排出するために涙を流すのではないか」とする説もあります。

何もきっかけが無いのに涙が止まらないなら精神的に病んでいるのかも

しかし、何か明らかなきっかけがあったわけでもないのに、涙が出てきて泣きじゃくってしまう――もしもこのようなことがあるのなら、あなたは精神的にかなり追いつめられ、病的な状態になっているのかもしれません。

こういう時であっても、涙を無理やりに止めることはありません。ただ流れるままにしておいて、自然に止まるのを待てばいいのです。

そして少しだけ気分が良くなったら、ぜひお近くの診療内科を受診してみてください。

いずれにせよ、止まらない涙が感情から発するもので、基礎分泌のものでも反射性分泌でもないのなら、それはあなたの心や体を守ろうとしてくれるありがたい涙です!

つまりはデトックス。

あなたの体が下した判断であり、涙を流すことで心をすっきりさせ、体を休めさせようとしてくれているのです。ですから「泣いちゃだめだ!」なんて無理する必要はないんですよ。

「疲れている」と思ったら、意識的に「涙活」して余裕を手に入れよう

副交感神経を優位にさせ、私たちをリラックスモードに導いてくれる涙。

たとえあなたと関係ない事柄であっても、涙を流せば副交感神経は優位になる効果があります。

たとえば……

A、職場での人間関係に悩んでいるときに仕事でミスをし、思わず涙してしまった。

B、職場での人間関係に悩んでいるときに感動する映画を観て、思わず涙してしまった。

いずれも情動性分泌の涙であることは変わりませんが、Aは自分の抱えているトラブルである仕事関係でのミスに涙したもの。

Bは自分のトラブルとはまったく関係ないところでの涙ですよね。

しかし、Bの涙であってもあなたの副交感神経は優位になるので、心も体も休まるんです!

「仕事でミスをする・しない」というのは自分でコントロールできない部分です。しかし、「感動系の映画を見る・見ない」というのは自分でコントロールできる部分ですよね。

Aでの涙は職場での人間関係に悩んで追いつめられてるところに、さらなるトラブルで涙を流すに至ってしまいました。

しかし、もしもその前に自分で涙を流し、副交感神経を優位にしていたら、そもそも心と体に余裕が生まれ、ミスは起きなかったかもしれない。

だから、「心も体も休めていない! 追いつめられている!」という感覚を持ったのなら、いち早く自分で涙を流せるような場・機会を持つことも大事なんですね。

そういった、「意識的に涙を流す活動をし、副交感神経を優位にしましょう」という活動を今は「涙活」と呼んでいます。

涙を流して得られる良い効果を知り、ぜひあなたもこのような活動をしてみてはいかがでしょう?