こちらがまっとうなことを言っているのに、なぜか相手が怒り出してしまう「逆ギレ」。
されたら心がもやもやするし、勢いに押されて話がなぁなぁになってしまうこともあり、なるべくなら避けたい状況ですよね。
でも、世の中には逆ギレしてくる人はいっぱいて、その対応に悩む人もいっぱいいます。
そこで今回は逆ギレしてくる人への、シンプルで上手な対処法について書きました。
今回の記事を読むことで、逆ギレしてくる人に対してあなたのまっとうな意見を通しやすくなるでしょう。
逆ギレのメカニズムと、具体例で見る逆ギレの本質
最初に逆ギレの起きてしまうメカニズムと、具体例から逆ギレの本質を理解しておきましょう。
人は相手から攻撃されている(厳しい叱責、暴力など)と感じると、「自分が助かるためには応戦せねば!」と強く反発します。
これは生理的、本能的な反応で誰でも備わっているもの。
この中でどう考えても一方の言っていることが正当で、一方に非があるのに後者が応戦してくるケースがあり、これが「逆ギレ」と言われる行動となります。
例を見てみましょう。
例1、貸したお金を返して欲しいAさんに逆ギレするBさん
A「この間貸してた1000円、いいかげん返してよ」
B「1000円くらいでそんなキツい言い方するな!」
逆ギレする人は応戦して、その場を逃げ切れればいいので、正しい理論を展開しているわけではありません。
事実、逆ギレでは「議論のすり替え」が行われます。
この議論のすり替えこそ、逆ギレの本質だと言ってもいいでしょう。
この例で悪いのはあくまでもお金を借りておきながら、返していないBさん。
お金を貸している側のAさんがしたい議論のテーマは「多少強く言ってでも、Bさんに1000円返してもらう」というものです。
しかし、Bさんのしようとしている議論のテーマは「1000円返さないくらいでキツい言い方してるAさんが良くない」というものです。
Bさんは逆ギレすることによって議論のテーマをずらし、本来の「1000円返す返さない」というテーマにいく前にAさんを疲れさせ、この場をうやむやにしようとしているわけです。
なぜなら、Aさんの話したいテーマでは、Bさんは間違いなく勝てないから。
逆ギレをされた側は
「いや、まぁ確かに自分も言い方キツかったかもしれないけど……」
などと引っ張られてはいけません。
これでは相手の思うつぼ。あなたがここで謝れば、正当なことを言っているあなたがいつの間にか相手よりも格下になってしまい、見事に本来したかった議論のテーマがうやむやになってしまいます!
きつい言い方をしないように気をつけても逆ギレは「される」!
「じゃあ、こちらがきつい言い方にならないように気をつければ、議論のテーマはずらせないんじゃないの?」
そう思った方もいるかもしれません。
しかしそれは違います。
言い方に文句を言っているのはただの一例で、相手の最終目的はこちらを疲れさせてこの場をうやむやにすることなのですから、何に関してもいちゃもんをつけて逆ギレしてくることはまず間違いありません。
先ほどの例だと以下のようになるでしょう。
A「私も支払いがあってキツくてさ~。この間の1000円、返してもらっていいかな?」
B「支払いがきついって手元に1000円もないの? それ社会人としてどうかと思うよ!」
あえてきつくない言い方を心がけたAさんなのに、また別の方向から攻め込んで逆ギレしてくるBさん。
逆ギレをしてくる人は本当にどうでもいいことや、「あんたがそれ言う?」みたいなことを平気で言い、逆ギレの材料としてくるのです。
逆ギレの理由はどんなささいなことでもいいので、あなたがいくら気を遣っても相手は逆ギレしようと思えばいくらでもできてしまい、キリがないのです。
逆ギレのシンプルな対処法!「物事が起きた順番に解決しましょう」と提案する
では逆ギレしてくる相手にどのように働きかければ、私たちは正当な主張ができ、目的を達成できるでしょうか。
また別の例を挙げて見てみましょう。
例2、浮気疑惑について説明してほしいA子と、逆ギレする彼氏B男
A子「私に隠れて女の子と浮気してるでしょう? LINEでラブラブなやりとりしてるの見ちゃったよ……」
B男「人のスマホ勝手に見るんじゃねぇよ!」
さて、確かに他の人の携帯電話を勝手に見るというのは悪趣味だし、プライバシーの侵害ですからA子のやったことは褒められたことではありません。B男はその点を突き、逆ギレしてきています。
しかしここでA子が謝れば、今回の議論テーマである「B男の浮気疑惑」からはどんどん離れてしまい、B男の思うつぼです。
A子のした議論テーマ「B男の浮気疑惑」が、B男のうやむや作戦の一環である「A子のスマホチェック」へ移り変わってしまってはいけません。
そこでA子は以下のように提案するべきなのです。
A子「うん、確かにスマホを見たのは良くないことだとは思う。でも、私がスマホを見る前にB男は浮気が疑われるようなことしたよね? だから物事が起きた順番に話をつけていこうよ。その後でスマホを見たことについては謝るよ」
そうなのです。
確かにA子がB男の携帯電話を勝手に見たのは良くないことでしたが、その前にB男自身が浮気をした・あるいは浮気が疑われるようなことをしたという事実がある。
B男の浮気→A子のスマホチェック
という順番に物事は起きているので、問題の解決もこの順番でやったほうが自然であると提案しましょう。
こうやって議論のテーマがどんどん移り変わってしまうのを封じるのです!
この手段はどんな逆ギレの状況でも使えます。
最初に挙げた借金問題で揉めるAさんとBさんの例1でも
「私の言い方がきつくてあなたを傷つけたことは後で謝る。でも私の言い方がどうという前に、あなたが私から1000円借りてまだ返していないことは事実だから、そちらを先に解決しましょう」
などと言い切ってしまうのがいいでしょう。
上記の手段を使っても逆ギレしてくる人には、数で対抗せよ!
たいていの人は上記の「物事が起きた順番に処理をしようと提案する」ということをやれば、引き下がってしぶしぶながら謝ってくるなど、なんとか解決に向かった話し合いができるようになるでしょう。
しかし、それでもなお
「やっぱりその言い方がどうしても気に食わない! 何様だ!」
とか
「理屈で追いつめるつもり!? 冷たい人間だ!」
とか逆ギレし続ける人も中にはいるかもしれません。
そこまでいくとかなり問題のある人なので、議論のテーマはさておき、あなたには相手と距離を置くことをおすすめします。
しかし、もしもあなたがどうしても自分の目的を達成したい(お金を返してほしい、浮気を謝って欲しいなどなど)ということであれば、第三者の手を借りて押していきましょう。
その第三者は、あなたが正当なことを言っているということを理解している味方でなければいけません。
浮気疑惑で揉めるA子とB男の例では、A子の正当性を理解し味方をしてくれる友人に同席してもらい、以下のようにテーマが移り変わることを2人がかりで阻止すればいいのです。
A子「あなたのスマホのLINEを見たら他の女の子とのやりとりがあったけど、浮気したの?」
B男「人のスマホを勝手に見るなんて最低だぞ!」
C子「いえ、今話したいのはそこじゃないんで」→テーマを戻す!
B男「これは2人の問題なのに、関係ないC子をつれてくるのも卑怯だ!」
A子「そのことはあとで謝るから、とりあえず今は浮気疑惑についてわかるように説明してくれない?」→テーマを戻す!
C子「そうだよ、B男さんが浮気していたかどうかが重要なことなんだから」→テーマを戻す!
二人きりだとあなたと逆ギレしている相手とのパワーバランスが五分五分になってしまうので、味方を増やすことであなたの目的を果たしやすくさせるのですね。
そもそも逆ギレされない人間関係を築くことも大事
そもそも逆ギレされないような人とだけ付き合う、という人間を見る目も必要です。
逆ギレしてくる相手というのは、あなたのことを意識的にか無意識的にか「テーマをずらしてうやむやにさせ、なんとか言いくるめてしまおう」と思っています。
こういう相手はあなたのことを大切にしているとは言えませんよね。
うまくいっている間柄、お互いに大切にし合っている関係なら、逆ギレなどされることなくスムーズにあなたの正当な言い分が受け入れられるはず。
たとえば以下のように。
例3、貸したお金を返して欲しいAさん、すんなり謝罪と感謝をして返金するDさん
A「この間貸した1000円返してくれないかな?」
D「すっかり忘れてた! ごめんね。はいこれ1000円(財布からお金を取り出し渡す)。ありがとう!」
A「返してくれてありがとう!」
D「ごめんね、今後こんなことがないように気をつけるね」
例4、浮気疑惑について説明してほしいE子と、謝罪して説明する彼氏F男
E子「あなたが女の子と仲良くやりとりしてるLINE見ちゃったんだけど……浮気してない?」
F男「勘違いさせるようなことしてごめんね、酔っぱらってた時にやりとりをしてしまったみたい。今後はないようにするね」
E子「ううん、疑ってごめんね。私も勝手にスマホ見てごめん」
F男「先に疑われるようなことした俺が悪いんだし、気にしないで」
お互いが信頼し、うまくいっている関係では、そもそも逆ギレなどといった理不尽なことをされずに済むのです。
だからあなたのほうでも、「この人、困った人だなぁ」と感じたら、トラブルの起きる前に離れ、信頼できる人たちだけで関係を作ることに集中したほうがいいかも。
もちろん、仕事関係の微妙な距離感の人であったり、縁を切るわけにもいかない血縁者が「逆ギレしてくる人」だった場合には、距離をおくのが難しいこともあるでしょう。
その時には今回ご紹介したテーマを変えさせない方法を使い、なんとかあなたの言っていることを受け入れてもらうように努力するしかありません。