カラーチェンジする宝石の種類!1粒で2度楽しめる輝き

カラーチェンジする宝石の種類-01

「カラーチェンジ(変色)ストーン」とは、その名の通り「色が変わる宝石」のことです。

なんらかの環境の変化によって、それまでとはまったく違った色合いになるカラーチェンジストーンは、まさに一粒で二度美味しい、自然の産んだ奇跡の宝石とも言えるでしょう。

今回は、「変色」の条件や、カラーチェンジする宝石を4つご紹介しましょう。

宝石の色が変わるには、4つのパターンがあった!

冒頭で、「『なんらかの環境の変化によって』色が変わる宝石が、カラーチェンジストーンだ」と言いましたが、実は宝石の色の変化は1つの条件だけでもたらされるものではないのですね。

その条件は以下の4つです。

1、光で変化する!

異なる光の波長を浴びることで別の色に見える宝石で、蛍光灯の下と自然光の下とでまったく違う表情になる。

2、方向で変化する

見る向きによって輝きの色が変わって見えるオパールなどの宝石。「遊色効果」と言う。

「玉虫色」という言葉になじみがある人もいるかも。

3、熱の刺激によって変化する

熱処理をすることで色が変わる宝石。高熱を加えることで色が変わるが、その後元に戻る。

ジュエリーに加工すると高熱を加えることはできなくなるため、ルース(ジュエリーに加工していない裸石の状態)のまま保持することが多い。

4、光の刺激によって変化する

紫外線を吸収して色が変わる「ハックナマイト」。

浴びる紫外線が強ければ強いほどに、紫色の濃さが増す。時間の経過とともに元に戻る。

このように、宝石の色が変わるパターンは複数あるものの、普通「カラーチェンジする宝石」という場合、この1の条件で変わる石を指すことが多いようです。そこで今回は1に該当するストーンに限定してご紹介していきましょう。

カラーチェンジ(変色)する宝石4つ

1、アレキサンドライト

カラーチェンジする宝石の種類の中での代表格が「アレキサンドライト」。

太陽光・蛍光灯の下では「青緑」に、ロウソク・白熱灯の下では「赤紫」に変化するという宝石です。

1830年のロシアで発見されたアレキサンドライトは、当初「青緑」に見えたため、エメラルドと誤認されました。

しかしその後赤紫に変化するという摩訶不思議な性質がわかると、美しい珍品としてロシア皇室に献上されることとなりました。

この献上日が偶然にも皇太子アレクサンドル2世の12歳の誕生日だということがあり、「アレキサンドライト」と命名されたのです。

硬度が高くて引っかき傷に強く、破損しにくいため常に身に着ける婚約指輪としても最適です。ただ希少なので価格相場は高くなっています。

2、カラーチェンジガーネット

ガーネットの歴史は深く、遡るとなんと5000年以上もの昔の資料にもその姿があるそうです。

植物のザクロの種に似ていることから、従来からのそのイメージで親しまれ、ヨーロッパの皇族・貴族たちも長く身につけてきた宝石です。

しかし、「カラーチェンジガーネット」が報告されたのは、1970年代と最近のこと。

カラーチェンジするアレキサンドライトが脚光を浴び、1987年にタンザニアでカラーチェンジガーネットが発掘されたのを皮切りに、宝石としての人気が高まりました。

太陽光・蛍光灯の下では「青緑」や「グレー」に、ロウソク・白熱灯の下では「赤紫」や「ピンク」に変化します。

高品質のものはアレキサンドライトに間違われることもありますが、あまり大きなサイズのものはいまのところ存在しません。

3、カラーチェンジフローライト

フローライトという宝石は、「世界で最もカラフルな宝石」と言われます。

これは、「フローライト」と一口に言っても、紫・赤・青・緑・オレンジ・イエロー、そしてそれらの淡い色から濃い色といったように、様々な色味のフローライトが存在しているからです(余談ですが、同じ宝石でもまったく違う色味ということはよくあります。たとえば、青いサファイアと赤いルビーは違う宝石と思われていますが、実は「コランダム」のうち青いものをサファイア、赤いものをルビーと呼んでいるだけで本来は同じ石です)。

このカラーバリエーション豊富なフローライトのうち、変色するものを「カラーチェンジフローライト」と呼び、インドで発掘されています。

こちらも太陽光・蛍光灯の下では「緑」で白熱灯の下では「紫」に変わります。また、加熱することで発光もしますが、割れやすいので知識のない人が行うのは危険です。また、この割れやすさのため、ジュエリー加工には不向きです。

4、アレキサンドライトキャッツアイ

キャッツアイ効果というのは、宝石の一筋の光がまるで猫の目のように見える効果のことです。カボションカットという、石を丸型にするカットをした時に見られます。

一般的にある宝石を「キャッツアイ」と呼ぶ場合、「クリソベリル」をカットした「クリソベリルキャッツアイ」のことを言います。

そして実は、1でご紹介したアレキサンドライトもクリソベリルの変種です。

そのため、アレキサンドライトをカボションカットしてキャッツアイ効果の見られるものを「アレキサンドライトキャッツアイ」と言うのですね。

この宝石は、アレキサンドライトの変色効果と、キャッツアイ効果の両方が楽しめる石ということになりますね。

最後に

カラーチェンジする宝石の種類、いかがでしたか。

いずれの宝石も、光の変化によってどれほどはっきりと別の色になるか、という点を見ることが大事です。

変色効果が明らかなものほど、宝石としての価値は高まりますよ。

ただし、カラーチェンジする宝石の中には、割れやすいものもあります。

実際に購入をする際には、ジュエリーとして身につけたいのか、手元にルースを置いておくだけで満足なのかという点もよく考えておくといいでしょう。